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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

さて、警視総監の次に、白蝙蝠団の魔手の伸びる所は、彼等のプログラムに従えば、内閣総理大臣大河原是之氏の官邸であった。

大河原伯爵一家は、先年夫人を失ってから、養子の俊一氏と実子美禰子さんの二人の外に肉親はなく、他は召使ばかりの淋しい家庭であった。夫人との間に長く子がなかった為に、親戚の俊一氏を養子に迎えたが、それから数年の後、ひょっこりと美禰子さんが生れた。そこで、美禰子さんは養子俊一氏とめあわせることにして、面倒な相続問題を未然に防いだ。幸い当人同志も、この結婚に異存はなく、目下は許嫁の間柄である。

美禰子さんは容貌は美しく、智慧はたくましく、誠に立派な伯爵令嬢であった。おそく生れた一粒種で、極度に甘やかされたせいか、たった一つ妙な欠点(或は長所)を持っていた。それは普通の程度を越えて恵深いことであった。どうして、それが欠点かと云うと、彼女の慈悲心は、余りにも突飛な形式で現われることが多かったからだ。

例えば、彼女はある時、道端の乞食に、自分の着ていた、仕立卸しの高価なコートを脱いで、着せかけたままサッサと帰って来たことがある。イヤ、もっとひどいのは、婆さんの乞食を、自動車の中へ拾い上げて、邸宅に連れ戻り、当時まだ在世であった母夫人に、この乞食を家で養ってくれとねだったことさえあった。