Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
青木は云われるままに上げ蓋を元通りに直して置いて、………の座蒲団に坐った。………ばかりである。
青木は女についてのいかもの食いでは、相当経験を持っている。港町の異国婦人、煙草屋の二階の素人娘、生花師匠の素人弟子、紹介者は、凡て誠しやかな甘言を以て、世の好事家を誘い込むのであるが、上べはどんなにとりすましても、多くはあばずれの職業婦人に過ぎないのだ。
「今夜も又その伝かな」と思う一方では、密室のからくりの余りの周到さに、ついポン引紳士の言葉を信じる気にもなる。少くとも彼には今夜の様な物々しいのは初めてだ。ポン引紳士の堂々たる風采といい、この家の上品な構えといい、念にも念を入れた密室の仕掛けといい、どことなく従来経験したものとは違っている。
彼の紳士は「富豪や大官や………………」がお客様だと云った。それは又富豪夫人、大官令嬢、………等々々を意味するものでなくてはならぬ。と考えて来ると、愛之助は年にも似げなく、初心な身震いを禁じ得ないのであった。
待つ間程なく、例の異様な咳払いが聞えて来た。「来たな」と思うと、一陣の臆病風がサッと彼の心を寒くした。だが、ここまで来ては躊躇している訳にも行かぬ。