Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
で、青木は、九段坂を上る度に、槐多の小説を思い出し、現在では当時とはまるで変っているけれど、道路のわきの石垣を、変な感じで眺めないではいられぬ次第であった。
「あの石の形が、少し他のと違う様だが、若しや今でもあの下に何か隠してあるんじゃないかな」
愛之助は事実と小説を混同して、そんな妄想を楽しむ体の男なのである。
九段の見世物風景は、誰でも知っていることだから細叙することもないが、現在ではすたれてしまって、どこかの片田舎で僅かに余命を保っている様な、古風な見世物を日本中の隅々を探し廻って寄せ集めた、と云う感じであった。
地獄極楽からくり人形、大江山酒天童子電気人形、女剣舞、玉乗り、猿芝居、曲馬、因果物、熊娘、牛娘、角男、それらの大天幕張りの間々には、おでんや、氷屋、みかん水、薄荷水、十銭均一のおもちゃ屋に、風船屋などの小屋台が、ウジャウジャとかたまっている。その中を、何の気か、ほこりを吸って、上気して、東京中の人間が、ウロウロ蠢いているのである。
ある因果物の小屋の前、そこには、時々幕を上げてチラリと中を見せるものだから、黒山の人だかりで、その群集の一番うしろの列が、反対側の食物屋台とすれすれにまで、ふくれているので、そこの道は、人一人、やっと通れる程の隙間しかない。