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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

迚も一度帰宅して旅装をととのえる余裕はない。

青木は諦めて、無駄な尾行を止してトボトボと家路に向った。

公園を出て、広い新道路を五六丁も行くと彼の邸宅がある。考え考えその道の半程まで歩いた時、彼はふとある恐ろしい考えに襲われて、ギョッと立ち止ってしまった。

余りに意外な邂逅だった為か、その時まで、彼は彼の男の声のことを忘れていたが、そう云えば、姿を見なくとも、あれは赤い部屋でおなじみの、もう一人の品川四郎の声に相違なかったではないか。本当の品川と非常によく似ている様で、どこか違った所のある、あの声に相違なかったではないか。どうして、そこへ気がつかなんだのであろう。と考えて来ると、それに関聯して、ふと相手の女の方の声を思い出した。

「イヤ、あれも聞き覚えのない声ではなかったぞ」

途端、稲妻の様に、ある戦慄すべき考えが、ギラッと彼の頭の中にひらめいた。

「馬鹿な、そんなことがあってたまるものか。お前はどうかしているのだ。まるでアラビア夜話みたいに荒唐無稽な妄想じゃないか」

と思い直して見ても、さっきの女の、甘えた声の調子が、耳について離れない。まさかとは思うものの、まさかと思った品川四郎が、公園の暗闇から現われさえしたではないか。