Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

「芳江、一寸これをごらん」

愛之助は、まだ幾分細君を疑っていたので、この写真で彼女をためして見ようと、ふと意地悪く思いついたのである。

「マア、品川さんね。S博士の通訳をなさるのね」

「それはいいんだが、うしろの方から覗いている、この顔をごらん」

と云って、指で幽霊男を示した。

「そうね、そう云えば品川さんそっくりね。マア、よく似てるわ」

オヤオヤ、何とほがらかなことだ。

「実はね、品川四郎と一分一厘違わない男が、(しかもそれが悪者なんだ)どこかにいるのだよ、僕はそいつに度々逢ったことがある」

と、この機会に、読者の知っている大略を話して聞かせた。(赤い部屋の隙見の件は都合上省略したけれど)

外は暮れ始めた鼠色だった。大入道みたいな樹立が、モクモクと窓の外を走って行った。天井の電燈が外の薄闇とゴッチャになって、妙に赤茶けて見え、車内の人顔に異様な隈が出ている。その中で、彼はせいぜい凄味たっぷりに、時々じっと相手の目を見つめたりして、それを話したのだ。

「マア、気味が悪い。何か企らんでいるのでしょうか」

彼女は幾分蒼ざめて見えた。だが、誰にしたって怖がる話だ。