Japanische Klassiker mit Furigana
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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
Lesen Sie 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) von 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.254 Zeichen · 226 Bildschirme
春の魔術
「とうとう往ってしまった。……わしはやはり一人ぽっちだ。」
白い石は低い声で独語を言って、そのまま黙ってしまいました。
秋の日はそろそろ西へ落ちかかりました。途を間違えたらしいこがね虫が、土をもち上げて、ひょっくりと頭を出しましたが、急にそれと気づいたらしく、すぐにまた姿を隠してしまいました。
春の魔術
春が帰って来た。そしてその不思議な魔術がまた始まろうとしている。
欧洲航路の途中、シンガポオルに立ち寄ったことのある人は、あそこへ泊る船という船へよく訪ねて来る土人の魔術師のことを知っているだろう。鳶色の肌をしたこの魔法使は、皆の見る前で砂を盛った植木鉢のなかに、一粒の向日葵の種子を蒔く。そして暫く呪文を唱えていると、その種子から小さな芽がむくむくと頭を持ち出し、すっと双葉を開いたと思うと、やがて黄ろい花がぽっかりと眼をあけかかるのだ。その手際のあざやかさは、見ている誰もが心から驚嘆させられるが、春の魔法使は、この鳶色の肌をした土人のそれよりももっと巧妙に、もっと秘密に、その魔術の企みを仕おおせるだけの技巧と敏慧さとをもっている。
私はこの頃の野道を歩くとき、自分の足の下にしかけられている春の魔術を思って、足の裏をくすぐられるようなこそばゆさを感じることがよくある。