Japanische Klassiker mit Furigana
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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
Lesen Sie 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) von 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.254 Zeichen · 226 Bildschirme
2
万力を思わせるような真赤な大鋏。それはどんな強い敵をも威しつけるのに充分な武器であった。
そんな恐ろしい武器を揮って、敵を脅かすことに馴れた蟹は、持ち前の怒りっぽい、気短かな性分から、絶えず自分の周囲に敵を作り、絶えずそれがために焦立っているのではなかろうか。
その気持は私にもよく分る。すべて人間の魂の物蔭には、蟹が一匹ずつかくれていて、それが皆赤い爪を持っているのだ。
私がこんなことを思っていると、蟹は横柄な足どりで、横這いに草のなかに姿を隠してしまった。
2
海に棲むものに擁剣蟹がいる。物もあろうに太陽を敵として、その光明を怖れているこの蟹は、昼間は海底の砂にもぐって、夜にならなければその姿を現わそうとしない。
擁剣蟹は、脚の附け際の肉がうまいので知られているが、獲られた日によってひどく肉の肥痩が異うことがある。それに気づいた私は、いつだったか出入の魚屋にその理由を訊いたことがあった。魚屋はその荷籠から刺のある甲羅を被たこの蟹をつまみ出しながら言った。
「奴さん。こんな姿はしていますが、大の明るみ嫌いでしてね。夜分しか外を出歩かない上に、満月の夜のあとさきは、海が明るいので昼だと思って、じっと砂にもぐっていて、餌一つとろうとしないそうですから、多分その故かも知れませんよ。