Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
ともまた退屈とも名づくべき春の暮れの心持は、ただ旅行をしてみただけでは、おそらく北国の人たちには味わいえなかったであろう。
北国でなくとも、京都などはもう北の限りで、わずか数里を離れたいわゆる比叡の山蔭になると、すでに雪高き谷間の庵である。それから嶺を越え湖を少し隔てた土地には、冬籠りをせねばならぬ村里が多かった。
丹波雪国積らぬさきに
つれておでやれうす雪に
という盆踊りの歌もあった。これを聞いても山の冬の静けさ寂しさが考えられる。日本海の水域に属する低地は、一円に雪のために交通がむつかしくなる。伊予に住み馴れた土居・得能の一党が、越前に落ちて行こうとして木ノ目峠の山路で、悲惨な最期をとげたという物語は、『太平記』を読んだ者の永く忘れえない印象である。総体に北国を行脚する人々は、冬のまだ深くならぬうちに、何とかして身を容れるだけの隠れがを見つけて、そこに平穏に一季を送ろうとした。そうして春の返ってくるのを待ちこがれていたのである。越後あたりの大百姓の家には、こうした臨時の家族が珍しくはなかったらしい。われわれのなつかしく思う菅江真澄なども、暖かい三河の海近い故郷を、二十八、九のころに出てしまって、五十年近くの間秋田から津軽、外南部から蝦夷の松前まで、次から次へ旅の宿を移して、冬ごとに異なる主人と共に正月を迎え