Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
浜の月夜
何と、ひとつこの菓子の袋を、そっと持って行って上げてもらえまいかというのである。
それが何でも死ぬ四、五日前だったそうである。枕元へ誰にも知らせずに菓子袋を持って行き、静かにこの話をして聞かせると、さもうれしそうな顔をして笑ったそうである。そうして大きな涙をこぼしたそうである。子供の時分のことだからよくは覚えないが、そんなこともあったかしれぬ。何にしてもご親切はまことにうれしい。喜んでいたと言って下さい。ありがたくご馳走になって行くからと言って下さいといって、心から感謝をしている様子であったという。
お婆さんのなくなってから、あアは言ったがお菓子はどうなったろうかと、それとなく気を付けて見たが、ついにその袋さえも見えず、また孫たちも一人も知った様子がなかった。たぶんは話した通りに、食べてしまってから死んだことであろうと思われた。
浜の月夜
あんまりくたびれた、もう泊まろうではないかと、小子内の漁村にただ一軒ある宿屋の、清光館と称しながら西の丘に面して、わずかに四枚の障子を立てた二階に上がり込むと、はたして古くかつ黒い家だったが、若い亭主と母と女房の、親切は予想以上であった。