Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
蝉鳴く浦
それは平たく申せば多勢の力である。並の人のする事をせぬ者を憎む力である。協和などといいながら、自分たちで選んだ役人を軽んじ、恩をかけたら目下だというような、封建的の考え方をするものだから、役人の方でも鼻息をうかがう政治をする。金持の気のままは今の町ではたいてい通っている。ひとり祭礼の衣裳や花笠提灯ばかりではない。ただ一軒の店が道へ突き出してショウウィンドウでも作れば、百千の家の前の雁木が無益になってしまう。ペンキ塗りの高い家が一つできれば、雪をおろす共同組織が変更せられねばならぬ。北国の都会の年増しにいやになっていくのは、火事の害というよりも、むしろ旦那衆の勝手な趣味というほうがよい。
東京はすでにひどい土埃になった。在所では何事も物遠い。われわれが静かに文明を味わいうるのは、地方の都会がただ一つの頼みであった。それがほとんど何人の責任でもなく、水は汚れ市場は掃く人もなく、家々は真似と虚偽との展覧会のようになっていく。町を作る人はもう永久に出てこぬのであろうか。悲しいことである。
蝉鳴く浦
今まで船室の畳の上を、ずるずるすべって回るようだった大うねりが、ちょっと眠った間にまるで静かになっている。