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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

六

の末にようやく新たなる環境と調和せしめたのみか、なおできるならばシベリアにもカムチャツカにも、はた北米の野山にも移してみようとする、それがむしろ笑止なるこの国人の癖であった。かつて中央日本の温和の地に定着して、こんなによく調和した生活法がまたとあろうかと喜んだ満足が、あるいは無用に自重心を培養した結果でもあろうか。何にもせよ暦の春が立返ると、西は筑紫の海の果から、東は南部・津軽の山の蔭に及ぶまで、多くの農民の行事がほとんどわずかの変化もなしに、一時一様に行わるるは今なお昨のごとくであって、しかも互いに隣県に同じ例のあることも知らぬらしいのは、すなわちまたこれらの慣習の久しい昔から、書伝以外において持続していたことを意味するものでなくて何であろう。

六

ここにその正月行事の一つ一つを、別挙してみることは自分にはむつかしいが、例えば田畠を荒らそうとするいろいろの鳥獣を、神霊の力の最も濃やかなりとした正月望の日に、追い払うておく一種の呪法がある。鳥追いの唄の文句には後に若干の増減があったが、ムグラモチを驚かす槌の子の響き、肥桶のきしみ、これに付け加えた畏嚇の語のごときは、北も南も一様に簡明であって、ただ奥羽・越後の諸県では凍った雪の上を、あるくばかりが西南との相違である。