Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
足袋と菓子
草鞋が破れて小石が入って困るので、小本の川口の部落で買おうとしたら、驚くべし紺絹キャリコの、小はぜが金かと思ふようなのしかおいてなかった。そんなら土地の人たちは、草鞋に何を穿くかと気を付けて見ると、多くは素足であり、しからざれば足袋とも呼ぶあたわざるものを縛り付けている。まったくこの辺の者には足袋は奢侈品で、奢侈品なるがためにかくのごとき、想像しうるかぎりの最も柔らかなものを特に選ぶのであろう。メリヤスの肌衣なども、夏の最中に裏毛ばかりを売っている。同じ心理上の現象である。
木綿の歴史は日本ではいたって日が浅いが、田舎の足袋の起原はその木綿が行き渡ってから、また遥か後である。多くの農家にはまだ祖父、曾祖父の革足袋が残っている。革足袋も足袋のうちだが、わずかに人間の足の皮の補助をするというまでで、汚さもきたなく、心を喜ばしむべきものではなかった。五尺、三尺の木綿が始めて百姓の手にも入り、足袋にでもして穿こうという際には、やはり今日の絹キャリコに対するような、もったいなさと思い切りを、根が質朴な人々だけに、必ず感じかつ楽しんだことと思う。この点においては忍の行田も摂津の灘・伊丹と、功罪ともに同じといってよろしい。