Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
月がさすとこんな装飾が皆光ったり翳ったり、ほんとうに盆は月送りではだめだと思った。一つの楽器もなくとも踊りは目の音楽である。四周が閑静なだけにすぐに揃って、そうしてしゅんでくる。
それにあの大きな女の声のいいことはどうだ。自分でも確信があるのだぜ。一人だけ見たまえ手拭なしの草履だ。何て歌うのか文句を聞いていこうと、そこら中の見物と対談してみたがいずれも笑っていて教えてくれぬ。中には知りませんといって立ち退く青年もあった。結局手帖を空しくしてもどって寝たが、何でもごく短い発句ほどなのが三通りあって、それを高く低くくりかえして、夜半までも歌うらしかった。
翌朝五時に障子を明けてみると、一人の娘が踊りは絵でも見たことがないような様子をして水を汲みに通る。隣の細君は腰に籠を下げて、しきりに隠元豆をむしっている。あの細君もきっと踊ったろう。まさかあれは踊らなかったろうと、争ってみても夢のようだ。出立の際に昨夜の踊り場を通ってみると、存外な石高路でおまけに少し坂だが、掃いたよりもきれいに、やや楕円形の輪の跡が残っている。今夜は満月だ。また一生懸命に踊ることであろう。