Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
津軽の旅
痛みがあればこそバルサムは世に存在する。だからあの清光館のおとなしい細君なども、いろいろとしてわれわれが尋ねてみたけれども、黙って笑うばかりでどうしてもこの歌を教えてはくれなかったのだ。通りすがりの一夜の旅の者には、たとえ話して聞かせてもこの心持はわからぬということを、知っていたのではないまでも感じていたのである。
(大正十五年九月「文藝春秋」)
津軽の旅
また五月になった。この二階の窓から見える吉野桜などは、はやすでに黒ずんだ深緑になって、むしろすがすがしい隣の梅若葉をうらやむかの風情であるが、津軽の山々ではこれからまだ半月もたってから、やっと雪の間の山桜が咲くのである。私が青森大林区署の官用軌道の軽便に乗せてもらって、十三潟の寂しい岸から、荒れた昔の恋の泊りを見に行ったのは、たしか一昨年のこの月二十七日の雨の日であった。相内の宿屋では地竹の筍の煮たのを肴にしてビールを傾けた。小泊から松前へ渡る船の航路が絶えてからは、もうだいぶん久しいことになる。そうなればこの辺は用もない荒浜であるから、町場がただの村よりもなお森閑となるのにも不思議はないが、それにしても驚くのは、古来音に聞こえた十三の湊の変りようである。