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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

この鳥の住んでいるような土地には、どこかにゆったりとした寂しい春がある。

信洲の高府街道というのは、犀川から支流の土尻川の岸に沿うて越える山路だが、水分れの高原には青具という村があって、五月の月末に桃山吹山桜が盛りであった。それから下って行こうとすると、真黒な火山灰の岡を開いて、菜種の畠が一面の花であり、そこを過ぎるとたちまち浅緑の唐松の林で、その上にいわゆる日本アルプスの雪の峰が連なって見える。雉がこの間に啼いていたのである。山の斜面は細かな花崗岩の砂になっていて、音も立てずに車がその上を軋って下ると、おりおりは路上に出て遊ぶ雉の、急いで林の中に入って行く羽毛の鮮やかなる後影を見たことであった。

こういう算えるほどしかない遭遇以外には、東京がかえってこの鳥の声を聞くに適していた。春の末に代官町の兵営の前を竹橋へ通ると、右手の吹上の禁苑の中から、いつでも雉の声が聞こえていた。年々繁殖して今はよほどの数になっている様子である。駒込でも岩崎の持地がまだ住宅地に切売されぬ前には、盛んに雉が遊んでいて啼いた。

男鹿の北浦などは、猟区設定の計算ずくのもので、たぶんもう農夫の苦情もぽつぽつと出ているであろうと思うが、何とか方法を講じてこの状態を保存させたいのは、春から夏の境の一番旅に適した季節に、こうして雉の声を聞き