Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
一〇
この風雅人の旅の日記を見て、何よりもまず目に立つのは田夫野人の言葉、彼らと何の心遣いもなく、自由に立ち話をした見なれぬ遠来の客の旅姿であった。この時代の東北の田舎においては、ちょうど明治の終わりごろに、やたらに洋服を着た者に目礼をしたと同じく、旅人を粗末にせぬしおらしい気風があったことと思うが、真澄もまた特段に、家々の奉公人とか女や子供とかの、物言い挙動に注意をする人であった。
一〇
「配志和の若葉」やその前後の日記を見ると、奥州の座頭たちの生活が、すこぶるこの旅人の興味を引いていたことが知れる。前沢の町には正保というボサマがいて、おりおり同席して話をすることもあった。一通りは歌も詠んで、彼が松前に立つ前などは送別の吟を寄せている。物覚えのよい人同士、おそらくはしばしば、閑談の交換をしたことと思う。冬籠りの奥羽の村では、以前は座頭は欠くべからざる刺戟機関であった。ことに正月もやや末になって、再び炉の側の沈黙が始まろうとするころには、若い者や小児は堪えかねてボサマの訪問を待ってきた。そうして偶然にもその人々の群れの中に、三河国の菅江真澄がいたのである。