Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
藁蒲団
月は洩れ雨は漏るなという古歌にもある通り、かがやく青空の光ばかりを、差別して内に迎え入れる方法は、以前にはなかったのである。それが今日のようにどの室も明るく、最早炉の火に炎と光明とを仰ぐことを、必要とせぬまでになったのは、単なる人間の智慮分別といわんよりもむしろ具体的に紙の力、あかり障子の功労といったほうが当たっている。
その後紙はおいおいにガラスに取って代わられ、ついには日中の電気燈とまで進んできて、人はいかなる地下室の底ででも、動きうるようになったのであるが、それは必ずしも結構なことでないかもしれぬ。ただ少なくとも数十年来の火の光を断念し、かつては荒神さまとまで尊信畏服していたものを、今日のごとく自由自在に制御するようになったのも、要するに皆コタツ時代の新たなる事業であり、また自信ある勇気の獲物であって、コタツはこの意味においては、わが国民文明の一つの凱旋門であった。
藁蒲団
旅人の文学などは通例誇張が多く、かつ同情はあっても省察が常に不足であった。ことに一丈、二丈の雪の底の生活にいたっては、もし外部から誰かが心づくのを待っているとしたら、こうしてコタツの起原のごとくに、自分でも忘れてしまうころまで捨てておかれるであろう。