Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
三
その葉の間からちらちらと見える黒い幹は、単純ながらも風情のある配合である。並木は主として大雪の日の旅人に、路を導くためのものと認められているが、そればかりの趣旨ではたぶんなかったろう。法令をもって並木に果樹を栽えしめた時代もある。夏の日の蔭は寒国においても入用である。ただし楊は早く成長し早く老い、もとより松の長寿なるに如かなかった。それゆえに今は奥州においても、若干の伐り残しを見るだけになったのである。
それだけならよいが赤松もどしどし伐られる。自分らが物を覚えてから、奥羽の並木の払い下げられた例は多い。山林は風致林という名目を設けて保存しながら土木の官吏は予算を捻出する場合に、いつでも心なく並木の老松の伐採を計画する。そうしてその跡へはめったに栽えたためしがなく、いわんや何を栽えようかなどはまるっきり考えぬことにしているようである。
三
もっとも樹を栽えることは近代の一つの流行だが、それはただ個人の家のまわり、さもなければ学校とか小公園とかの、いったん土を削って地肌を見せた所へ、そんな土地にも成長するものを栽えるばかりで、広い平原の大きい風景の調和などは、何人の任務でもないから誰も考えない。