Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

こうなると、夫婦はいよいよ不憫が増して来て、どうしてもこのままに見捨ててゆく気にはなれなくなった。こういう美しい、いじらしい少女を乞食にしておくということが不憫であるばかりでなく、前にもいう通りのお触れが出ている以上、かれは何人の恵みをも受けることが出来なくなって、早く他領へ立退くか、あるいはここでみすみす飢え死にしなければならないのである。庄兵衛は試みに少女に訊いた。

「おまえは乞食に物をやるなというお触れの出ているのを知らないのか。」

「知りません。」と、かれはまったく何にも知らないように答えた。

庄兵衛の妻はまた泣かされた。かれは夫を小蔭へまねいて、なんとかしてかの少女を救ってやろうではないかとささやくと、庄兵衛にも異存はなかった。しかし自分も里見家につかえる身の上で、この際おもて向きに乞食を保護するなどは穏かでないと思ったので、彼はきょうの供に連れて来た中間の与市を呼んで相談した。

与市は館山の城下から遠くない西岬という村の者で、実家は農であるが、武家奉公を望んで二、三年前から庄兵衛の屋敷に勤めているのである。年は若いが正直律義の者で、実家には母も兄もある。