Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme
「すまねえ。そんなに思っててくれるとは知らなかった」
箱包みを抱えて、土間へ飛びこんだチョビ安は、昼間でも薄ぐらい三畳の間へ、大声をぶちまけて、
「作爺さん、いま帰った。チョビ安さんのお里帰りだ。お土産を持って来たぜ」
暗さに眼がなれてみると、その三畳はみじめをきわめた乱雑さで、壁には、お爺さんとお美夜ちゃんの浴衣が二、三枚だらりと掛かり、その下の壁の破れから、隣の家の光線が射しこんでいる始末。商売用の羅宇のなおし道具は、隅に押しこめられて、狭い部屋いっぱいに、鉋屑が散らばっているんです。
そこにうごめいている影――作爺さんは、チョビ安の出現と同時に、何かひどく狼狽して、今まで削っていた小さな木片を手早く押入れへほうりこみ、ぴっしゃり唐紙をしめきって、
「な、な、なんだ。チョビ安じゃあねえか。どうした」
と、せきこんできく作爺さんの声には、チョビ安を迎える喜びと、隠していたものを見られはしなかったかという恐れとが、まじっているので――。
ほんとうは彫刻師なのです、この作爺さんは。
何か故あって、この裏長屋に身をひそめ、孫のお美夜ちゃんを相手に、羅宇直しの細い煙を立ててはいるものの、芸術的な本能やむにやまれず、捨てたはずの鑿を取っては、こうして日夜人知れず、何かしきりに彫っているんです。