Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme
狼が衣を
一
相馬中村の藩を出て、孤剣を抱いて江戸中を彷徨するようになってから、いろんなことがあったっけ……手にかけた人の数は、とてもかぞえきれない。冒した危険、直面した一身の危機も、幾度か知れないけれど、それはいったいみんななんであったか――?
左膳が眉をひそめると、刀痕がぐっと浮きたつのだ。
自分はいったい、故郷を出てから、なんのために刀をふるってきたのか――わからない。それが、わからなくなってしまった。
ただ、こういうことだけは言える。じぶんはきょうの日まで、自分のことを考えなかった。その証拠には、いまこうして橋の下の小屋住い……ここで一つ、壺によって、その柳生の埋宝をさがし出し、この風来坊が一躍栄華の夢をみる――それも一生、これも一生ではないかと、剣魔左膳に、この時初めて、黄金魔左膳の決心が……。
狼が衣を
一
白綸子のお寝まきのまま、広いお庭に南面したお居間へ、いま、ノッソリとお通りになったのは、八代吉宗公……寝起きのところで、むっと不機嫌なお顔をしてらっしゃる。
朝の六つ半、すこしまわったところ。
お納戸坊主が、閉口頓首して、御寝の間のお雨戸をソロソロ繰りはじめる、そのとたんを見すまし、つまり、お坊主の手が雨戸にかかるか掛からないかに、お傍小姓がお眼覚めを申し上げるのです。