Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
三
ご自分でペンをおとりになることは、まだお医者さまがお許しにならぬとおつしやつておいででした。奥さまは、あなた様のこと、お宅のことを、いろいろおきゝになり、わたくしがお話し申しあげることに、ふーん、とか、へーとか、ほんと? とか、いちいち、明るく反応をお示しになりながら、お耳をかたむけてくださいました。そして、奥さまは、やさしいお言葉で、あたしからも京野さんにお願いしてあげたいんだけれど、こんな風だから、あたしがそう言つたつていうことを、忘れずにあの方におつしやいな。きつと、ちがうわよつて、もちろん、ご戯談のようにですけれど、おつしやいました。これは、すぐにお伝えいたしておきたいと存じます。
なかなかガッチリした娘だと、京野等志は苦笑した。それにしても、なるほど、小萩からまで頼まれたとあつては、これはすこし、話が違つて来る、と思つた。
三
百瀬しのぶが京野等志の計らいで彼の工場へ事務員として入社してから、もうかれこれ一と月たつた。宿の方も、彼が口を利いて、工場から近い熊谷の町の、ある大工の家の二階に間借りをした。だいぶん仕事にもなれて来たので、休日には東京へも遊びに出た。