Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
謙譲の美徳だと思え」
そんなあんばいにゴマ化して、彼は座を起とうとした。
「おい、等志、ちよつと話したいことがあるから、わしの部屋へこい」
父は不機嫌をかくそうとしなかつた。一言の相談もなく、勝手に進退をきめたというのが、父の気に入らぬらしい。
「わしと関係のないところなら、まあ、それでもいゝさ。わしが口を利いて、いわばわしの顔で入れたお前だ。社長の陣内だつて、気をわるくせんとも限らん」
「そのへんのことも、考えないわけじやなかつたんです。お父さんの立場は十分尊重して、事を運んだつもりです。社長も、今日、お父さんは実に立派だつて、褒めてましたよ」
「それや、褒めるだろう、うまくやつたのは、あいつ一人だ。そんなことより、お前は、みすみす、運を取り逃がしたようなもんだ。あの男に喰い入つとくのは、今なんだ」
「僕には、あいにく、そういう興味はないんです。お父さん、僕からこんなこと言うと、変ですけれど、もう好い加減に、つまらん事業から手を引いたらどうですか?」
「それで、食つていければ、だ」
「そんなに、先が見えてるんですか?」
「なにを言つとる! まだまだ、貯えなんぞできとりやせん」