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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

五

そして、彼とはつきり視線が合つたとたん、くるりと横を向いて、両手で顔をおおつた。

「たゞいま……」

彼はやつと、落ちついてそういうことができた。

母は、それにはなんともこたえず、いきなり勝手口から奥へ、

「お父さん……みんな……兄さんが帰つて来ました……兄さんが帰つて来ましたよ」

と、ひと息にどなつて、すぐにまた、彼の方に向き直り、涙で眼を光らせながら、

「もつと早く知らせてくれればいゝのに……。さ、玄関を開けるから、ちやんと、あつちからおあがり………」

そういつて、そゝくさと、奥へ姿を消した。

五

朝食の支度ができ、一同の顔が茶の間に揃うまで、家の中は、上を下への騒動であつた。

一人一人とゆつくり挨拶を交すひまはもちろんない。父は想像以上に年をとり、母は、反対に、まだしやんとしていた。すこし意外でもあり、なんとなく気にかゝるのは、一番上の妹多津が、口数少く、無器用に、母の手伝いをしていることと、中の妹美佐が、ついに顔をみせず、誰もまだそれについて理由を告げようとしないことである。

父は、食卓につくと、また更めて、

「うむ、無事に帰つたか。よかつたな。まあ、ゆつくりからだを休めるといゝ」