Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

ある少女の役割

一

これだけは、死んでもいやなの。あたしは、もう、こうなつてしまつたんだから、ほうつといていたゞきたいわ。つまらない意地を張るみたいだけど、兄さん、あたし……あたし……親きようだいぐらい、つめたいもの、ないと思うのよ。それが、心の底にいつまでもこびりついてるの。兄さんは別かもしれないわ。でも、でも、あたしは、もう、あのひと以外、だれも信じられなくなつてるの……」

彼女は、とぎれとぎれに、力をこめて言いながら、ついに、そこへ泣き伏してしまつた。

ある少女の役割

一

もう梅雨にはいつたのか、ぐずついた天気が毎日つゞき、雲の切れ目にたまに青空がのぞくと、いよいよ夏の気配がはつきりと感ぜられた。京野等志は、しばらく南方の湿気に息のつまる思いを経験しただけに、カラリと晴れた高原の陽を存分に浴びたいと思つた。しかし、今の仕事は、彼にそんな暇を与えるはずはない。工場のトタン屋根にしとしとと降りそゝぐ雨の音を聴きながら、煙草の吸殻を、やけに灰皿の上でもみつぶした。と、そのとき、ふと、家を出がけに、今朝の郵便物をポケットに突つこんだまゝ、まだ目を通していないことに気がつく。