Japanische Klassiker mit Furigana
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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
Lesen Sie 地球盗難 (ちきゅうとうなん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.072 Zeichen · 168 Bildschirme
そして立ち上ったと見る間に砲弾のように下宿の囲いの中に闖入してきた。
その闖入者はあたりにいる人達に気がつかないのでもあるように、イキナリ井戸の処へ飛んで行って中を覗きこんだ。そして直ぐ顔をあげると、
「縄だッ。縄、縄ッ!」
と大隅学士の方を向いて叫んだ。学士が呆気にとられている間に、彼は軒下に吊してある綱束に気がついて飛びつくようにして手に取るとこれをバラバラに解いた。そしてその一方の端を持って大隅学士に近づくと、呀ッという間に学士の身体に綱をグルグルと捲きつけてしまった。それは素晴らしい早業だった。学士が何か叫ぼうとすると、
「さあこれでいい。一つシッカリその綱の端を持っているんだよ。……」
と早口に云って、彼は自ら綱の他端を持って素早く自分の胴中に結ぶと、井戸端に駈けつけた。それからポンポンと半靴を脱ぎ、井戸側に片足をかけた所で、首を廻して大隅学士の方をみた。
「ねえ……着陸の方は味噌をつけちまったが、爆弾投下術のこの見事なことはどうだネ、君。イヤあまり見事過ぎて、こんな軽業をやらにゃならぬとはちと弱ったが……いいかネ、君。いま人間が一人、溺れ死ぬかどうかという浮沈の境目だ。