Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
Lesen Sie 夜明けの辻 (よあけのつじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.801 Zeichen · 86 Bildschirme
「桃井はどうした。久馬は」
「紙屋さまがお引取りになりました……お二人ともひどい言をおっしゃって、母上さまをお泣かせ申しました」
「もっと苦しいことがあるぞ」
伊兵衛は息苦しいような声で云った。
「あとで精しく話すが、兄は小幡のお家の臣ではなくなる、扶持も、家名も捨てる。これからは世間全体を敵にして働くんだ。おまえにも母上にも、もっと辛い苦しいことが重ってくるかも知れぬ……佐和、だがどんな苦しいことがあっても、この国の民として正しい生きかたをするという誇りだけはおれたちのものだ。これだけは忘れてくれるな。いいか」
「はい、よう存じております」
佐和は濡れた眼をあげて兄を見た。
「兄上さまが山県先生をお護りしていらしったと聞きましたときから、母上もわたくしも、覚悟は決めておりました。どうぞわたくしたちのことは御心配なさらず、お望みどおりにお働きくださいまし」
「そうか……そうか。おう母上もそう思っていてくだすったのか、それだけが心懸りだったが、それでおれは肩の荷が下りた。行こう佐和、母上のお顔が見たい」
伊兵衛の顔はいきいきと輝いてきた。
六の三
母はいつもの母だった。