Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
「わしはお前にまだ話したいことがあって来た」
「いいえ、もう何もお伺い申しますまい、わたくしはお暇をいただく身分の者でござりまする、お暇をいただけば、御主人でもなく召使でもないのでござりまする」
「君、お前は聞きわけがない」
「どう致しまして、わたくしは、もう何もお伺い申すことはござりませぬ……わたくしはお暇をいただきとうござりまする、わたくしはお暇をいただいて帰りまする」
お君はついに堪えられず喚と泣いてしまいました。
ほどなく能登守は悄々として、お君の部屋を出て帰りました。
もとの一間へ来て、火鉢の上に片手をかざして、前のように物思わしげに、まだ寝ようともしません。
今の有様は、主従のところを換えたような有様であります。能登守としては思いがけない弱味でありました。お君としても思いきった我儘の言い分のように聞えました。
能登守はかえって、お君に向って申しわけをし、或いは哀求するような物の言いぶりは歯痒いものであります。お君は始終泣いて泣きとおしていました。見様によっては拗ねて拗ね通しておりました。さすがに、能登守ほどのものが、そのお君の張り通した我儘に、一矢を立てることができないで、悄々と引返すのは何事であろう。