Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

十一

それはお君が米友を潜りの木戸から呼び入れた時よりも、ずっと後であって、あの場面は一通り済んでしまった時でしたから、無論それを聞き咎めての驚きではありません。

それは能登守がいま寝ている屋根の上で、たしかに人の歩むような物の音がするから、それに耳を傾けたのであります。そう思えば、たしかにそうであります。屋根の瓦を踏んでミシリミシリと音がする。時としてはその瓦が、踏み砕けたかと思われる音がするのでありました。

しかしながら、もしも怪しい者がその辺に来ているならば、能登守が驚く以前にムク犬が驚かねばならないのであります。しかるにムク犬はなんとも言わないで、今や寝入ろうとした能登守の耳を驚かしたものとすれば、ムク犬はまたしてもどこへか夜歩きをはじめて、この邸にはいなくなったものと見なければなりません。

能登守がなおも屋根の上の物音に耳を傾けている時に、今度は屋敷の外まわりでバタバタと駈ける人の足音が聞えました。その足音は一人や二人の足音ではなく、両方から来て走せ違うような足音でありました。

「や、これはこれは、御同役、お役目御苦労に存ずる」

という出会いがしらの挨拶が聞えました。