Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
この声を聞いて、寝台の上に能登守の筒袖羽織を被せられて寝ていた宇津木兵馬が、起き直ろうとして動きかけましたが、かの廊下の扉の方にあたって、トーンと一つの物音が聞えたのもその時です。この物音はさして大きな物音ではなかったけれど、さすがの二人の壮士を悸とせしめて、その音のした扉の方を見つめさせ、
「叱ッ」
いま、起き上ろうとする宇津木兵馬を抑えてしまいました。
「今の物音は?」
「…………」
二人の壮士は面を見合せました。それは彼等を気にさせるのも道理で、その物音は能登守が鉄砲の台尻を板の間に軽く落した物音でありました。やがて室内の四方へ眼を配った二人のうち南条は、能登守の机の抽斗から白鞘の短刀一口を探し出しました。五十嵐は能登守が鎔鉱の試験用に使う三尺ばかりの鉄の棒を一本探し出しました。南条はその短刀の鞘を払って、それが充分用に堪えることを知っての上で、二人はその裸蝋燭を前にかざして進んで行きました。二人の進んで行く方向は、無論、能登守が立聞きをしているはずの廊下へ通う扉の方向でありました。
「狼藉者!」
「あ!」
と驚いた二人の壮士は、その行手の扉が風もないのに向うから開いて、そこから狼藉者呼ばわりの凜々しい声を聞きました。