Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

もしも、それらしい女の声でもしたらと、耳を戸袋へ密着けたりなどしましたけれども、それらしい声も聞えません。米友はこうして家の周囲を一通り廻ってしまいました。

今度は縁の下へ潜ってみようと思いました。短躯にして俊敏な米友は、縁の下を潜るのにことに適当しております。

米友が縁の下へ潜ろうとした時に、表の方で人の声がしました。

「へえ、お迎えのお駕籠でございます」

縁の下へ潜りかけた米友は、その声を聞き咎めて耳を引立てたが、急に縁の下へ潜ることを見合せて、その声のした方へ出かけました。米友は立木の蔭から、今この家の表へ来た駕籠と駕籠舁とをじっと見ていました。駕籠が二挺釣らせてありました。人足は提灯を持ったり、息杖をかかえたり、煙草を喫んだりして、居たり立ったりしていました。これらの連中がそこへ暫く待っていると、家の中から、

「御苦労、御苦労」

と言って出て来たのは役割の市五郎であります。米友はこの男を知らないけれども、多分、これがここの親方だろうと思いました。

「親方、今晩は」

と言って、駕籠舁どもは頭を下げました。

「さあ、お嬢様、これにお召しなさいまし、お女中さんはこちらのにお召しなさいまし」