Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

「ウーン」

とうなり出したのを、主膳はその頭の上から蒲団を被せて抑えましたから、幸内のうなる声は圧し殺されたように絶えてしまいました。

それで静かになってしまうと、主膳はまた行燈の方へ向き直りましたが、幸内は蒲団を被せられてしまっているから、どうなったのかサッパリわかりません。ただ前よりは一層おとなしくなってしまったようであります。行燈の方へ向き直った主膳は、思わず小さな声で、

「あっ」

と言って自分の両の手先を見ました。その手先へ鬼蜘蛛のような血の塊がポタリポタリと落ちている。

「ああ鼻血か」

主膳は、仰向いて、その手を加減しながら自分の懐中へ入れて畳紙を取り出して面に当てました。いま主膳を驚かしたその血の塊は、外から出たのではありません、自分の鼻から出た鼻血でありました。けれども紙で拭いたその血を行燈の光で見ると夥しいもので、黒く固まってドロドロして、しかもそれが一帖の畳紙を打通して染みるほどに押出して、まだ止まらないのです。

神尾主膳は、そのあまりに仰山な鼻血の出様に、自分ながら怖くなったようでありました。鼻血を抑えながら、あたりを始末して以前の戸口からこの座敷を脱け出しました。