Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
けれどもそのお君ならばなにも、わざわざこんなことをして自分のところへ手紙をよこさねばならぬ必要はないはずであります。お君のほかの人で、こんな使をこの犬に頼む者があろうとは、米友には思い当らないし、ムク犬もまたほかの人に、こんな用を頼まれるような犬ではないはずであります。
米友は、いよいよ不審の眉根を寄せながら、ついにその結び文を解いて見ました。読んでみると文句が極めて簡単なものであった上に、しかも余の誰人に来たのでもない、まさに自分に宛てて来たもので、
『米友さん裏の潜り戸をあけて下さい』
と書いてあるのでありました。
「わからねえ」
米友は、その文面を見ながら、いよいよ困惑の色を面に現わしました。それは確かに女の手であります。女の手で見事に認められてあるのであります。
「いよいよ、わからねえ」
米友の知っている唯一のお君は手紙の書けない女であります。このごろ、内密で文字の稽古はしているらしいが、それにしても、こんな見事に書けるはずはないのであります。そのお君を別にして……まさか米友を見初めて附文をしようという女があろうとは思われません。
「誰かの悪戯だ」