Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

米友はそこで黙ってしまいました。どこまで行っても受身で、根っから気焔が上らないで、先を打たれてしまうようなあんばいです。

袖切坂のあたりは淋しいところで、ことに右手はお仕置場です。袖切坂はそんなに大した坂ではないけれど、そこを半分ほど上った時に、

「おや」

と言って、どうしたハズミか、先に立って行ったお角が坂の中途で転びました。物に躓いて前へのめったのであります。

「危ねえ、危ねえ」

米友はそれを抱き起すと、

「ああ、悪いところで転んでしまった」

見ればお角の下駄の鼻緒が切れてしまっています。それをお角は口惜しそうに手に取ると、はずみをつけてポンと傍のお仕置場の藪の中へ抛り込んで、

「口惜しい、うっかりしていたもんだから、袖切坂で転んでしまった」

キリキリと歯を噛んで口惜しがりました。お角の腹の立て方は、わずかに転んだための癇癪としては、あまり仰山でありました。

「怪我をしたのかね、かまいたちにでもやられたのかね」

米友は多少、それを気遣ってやらないわけにはゆきません。

「そんなことじゃない、袖切坂で、わたしは転んでしまったのだよ、ちぇッ」

お角の言いぶりは自暴のような気味であります。