Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

下駄が片一方、しかもそれは男物ではない、間形の女下駄に黒天の鼻緒、その鼻緒の先が切れたままで、さながら庚申様へ手向けをしたもののように置かれてあるのをみとめて、米友は眼を円くしました。

想像を加えるまでもなく、その下駄はお角の下駄であります。昨夕この坂の中程で転んだお角が、焦れったがって歯咬をしながら、鼻緒の切れたその下駄をポンと仕置場の藪の中へ投げ込んだ時に、米友は怪訝な面をして見ていました。

それを誰がいつ拾い出したのか、今朝はもうここに、ちゃんとこうして供えられてある――だから米友は眼を円くしないわけにはゆきません。

迷信や因縁事で米友を嚇すには、米友の頭はあまりに粗末でそうして弾力があり過ぎます。昨夕、ここであんなことをお角から言われて、その時はおかしな気分になりました。今はもうほとんど忘れてしまっていました。それだからこうして見ると、誰がしたのかその悪戯が面悪くなるくらいのものでありました。米友は手に持っていた棒をさしのべて、長虫でも突くような手つきで、下駄の鼻緒の切れ目へそれを差し込みました。

前後と左右を見廻して、その下駄を抛り込むところを見定めようとしたけれど、あいにく、あの藪の中へ投げ込んでさえ拾い出してここへ持って来る奴があるくらいだから、畑や道端へうっかり捨てられないと、米友は棒