Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

釣瓶を抱いて、さあ三杯目の水を幸内の頭から浴びせようとして、神尾主膳はよろよろとよろけました。幸内に浴びせようとした水を三分の一ばかり、自分の懐ろの中へ浴びせてしまいました。

「あッ、冷たい」

主膳は釣瓶を取落すと、釣瓶は井戸の中へ落ちました。やり損なった主膳は、まだ釣瓶の綱の手を放さないで四杯目の水を汲みにかかりました。諸手をかけてウンウンと力を入れて手繰った時は、自分のしている残忍そのものの興味をも忘れているようであります。

かわいそうに幸内は、主膳が酒乱の犠牲となって、弄り殺しにされなければ納まらないでしょう。弄り殺しにした上に、その屍骸を粉々にしなければ納まりそうにはありません。

主膳は悪魔のうなるように、ウンウンと力をこめて綱を引きました。力余って釣瓶を井戸車の上まで刎ね上げてしまいました。井戸の水は、滝が岩に砕けるように一時にパッと飛び散りました。

「うーん」

その途端に神尾主膳は、どうしたハズミか二三間後ろへと尻餅を搗いてしまいました。釣瓶の縄が切れたのです。釣瓶は凄じい音をして単独で井戸の底へ落ちて行きました。ハズミを喰って尻餅を搗いた神尾主膳は、暫らく起き上ることができません。