Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
神尾が見て悸としたのは、その竜之助のもぎ取ろうとしている白い物が、人間の手のように見えたからであります。
人間の手のように見えたのではない、まさに人間の手に違いないからであります。
「竜之助殿、いったいそりゃ、どうしたのだ」
主膳も、ほとほと身の毛がよだつようでありました。
「固く……むしりついて……どうしても取れぬ」
竜之助は、そう言いながら人間の手を羽織の襟からもぎ取ろうとして、なおも力を入れたのであります。
「どうしたのじゃ」
主膳は再びたずねました。
「これが……この手首が……」
竜之助は、自棄に力を入れてその羽織にぶらさがった人間の手を引きました。
「斬ったのか、人を斬ったのか……」
主膳は面を突き出して、その手首を篤と見届けようとして、
「取れないのか」
「取れない」
「どれどれ」
「斬った途端にここへ飛びついたから、また斬った、手首だけ残して倒れた、その手首が、ここに密着いて離れない」
「拙者が離してみてやろう」
神尾主膳は竜之助の胸の前へ来て気味悪そうに、その手首にさわりましたが、
「こりゃ女の腕ではないか」
「ああ、女の腕よ」
「女を斬ったのか」
「うむ、女を斬った」