Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme
七
七
ふと清十郎の燃えている眼を見て、朱実はからだが硬ばってしまった。
「…………」
無意識に身を退きかけたが、彼の手は、彼女の手くびを離さない。痛いほど握りしめ、
「なぜ逃げる?」
とがめるように額に青すじを立てる。
「逃げやしません」
「きょうは皆、留守なのだ、こういう折はまたとない。そうだろう朱実」
「なにがです」
「そう棘々しくいうな。もうおまえと馴染んでから小一年、おれの気持もわかったはず、お甲はとうに承知なのだ。おまえがおれに従わないのは、おれに腕がないからだとあの養母はいっている。……だから今日は」
「いけません!」……突然、朱実は俯ッ伏して、
「――離してください、この手をこの手を」
「どうしても」
「嫌、嫌、嫌ですっ」
手くびは捻じ切れそうに赤くなってくる。それでも清十郎は離さないのである。こういう場合に京八流の兵法が応用されては、いかに彼女が争っても無駄であろう。それにまた、きょうの清十郎はいつもとやや違っていた。いつも自暴に酒を仰飲って執こくからむのだが、きょうは酒気はないし、青白い顔をしているのだった。
「――朱実、おれをこうまで意地にさせて、おまえはまだ、おれに恥をかかすのか」