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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

今夜も遅いのか、それとも帰らないのかと、お銀は単衣ではもう涼し過ぎるような夜風に吹かれながら、わびしげに暗い往来をながめている時、ふと気がつくと、隣りのあき家の出窓の下にひとりの女の立っているらしい姿がみえた。窓の下には細い溝があって、石のあいだにはこおろぎが鳴いている。その溝のふちにたたずんで、女は内をのぞいているようにも見えたので、お銀はすこし不審に思った。

「もし、どなたでございます。お隣りは空き家ですが……。」と、お銀は試みに声をかけた。

「はあ。」

女は低い声で答えたかと思うと、そのまま暗いなかに姿をかくしてしまった。それを見送って、お銀は内へはいったが、せがれはまだ帰らなかった。筋むこうの屋敷内に高く聳えている大銀杏の葉の時々落ちる音が寂しく聞こえるばかりで、夜露のおりたらしい往来には人の足音も響かなかった。今夜にかぎってお銀はひどく寂しい。もしや出さきで我が子の上に何か変わったことでも出来たのではあるまいかなどと、取越し苦労に半時間ほどを過ごしたかと思う頃に、人力車の音がだんだんに近づいて来た。家主の溝口医師が病家から帰ったのか、それともせがれが車に乗って帰ったのかと、お銀は再び起ちあがって、今度は出窓から表をのぞこうとした時、表では何か口早に話すような人声がきこえた。