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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

なんでも三畳と四畳半と六畳の三間であったということで、それで造作付一円五十銭は今考えると嘘のようであるが、それでも余り安い方ではないという評判であった。そのせいか、門に近い方の一軒は塞がっていたが、となりの一軒は明いていた。

ふさがっている方の借家人は矢田友之助という大蔵省の官吏であった。そのころは官吏とはいわない、官員といっていたのである。矢田はことし廿四五で、母のお銀とふたり暮らしであったが、たとい末班でも官員さんの肩書をいただいている以上、一ヵ月一円五十銭の家賃を滞納するようなこともなく、無事に一年あまりを送っていた。

「友さんは遅いねえ。」

ひとり言をいいながら、母のお銀は格子をあけて表を見た。明治十三年九月の末の薄く陰った宵で、柱時計が今や八時を打ったのを聞いてから、お銀は長火鉢の前を離れて門口へ出たのであった。せがれの友之助は独身の若い者であるから、残り番だとか宿直だとか名をつけて、ときどきは夜おそく帰ったり、泊まって来たりすることもある。お銀もそれを深くとがめようとはしなかったが、親ひとり子ひとりの家庭であるから、せがれの帰らない夜はなんとなく寂しい。