Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
こう解釈してしまえば、それは極めてありふれた事件で、単に一場の笑い話に過ぎないことになる。父もそう解釈して笑ってしまいたかったが、その以上に何かの秘密がひそんでいるのではないかという疑いがまだ容易に取りのけられなかった。そればかりでなく、ともかくも自分の所有地へ入り込んで、むやみに穴を掘ったりする者があるのは困る。いずれにしても、今夜ももう一度張り番して、その真相を確かめなければならないと、父は思った。
父は官吏――その時代の言葉でいう官員さんであるので、そんな詮議にばかり係り合ってはいられない。けさも朝から出勤して夕方に帰って来たが、留守のあいだに別に変わったことはなかった。今夜も家内の者を寝かしてしまって、父ひとりが縁側に坐っていると、ゆうべろくろくに眠らなかったせいか、十二時ごろになると次第に薄ら眠くなって来た。きょうも暑い日であったが、ふけるとさすがに涼しい夜風が雨戸の隙き間から忍び込んで来る。それに吹かれながら、父は縁側の柱によりかかって、ついうとうとと眠ったかと思うと、また忽ち眠りをさまされた。例の空き地の草むらの中で、犬のけたたましく吠える声がきこえるのであった。