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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

尼は安らかに眠られないので、冷たい夜風に吹かれているのかも知れないと二人は想像していた。尼は容易にそこを立ち去らなかった。遠い原なかで狐の啼く声がきこえた。薄い月がぼんやりと弱い光りを投げて、そこに立っている石地蔵の姿がまぼろしのように薄白く見られた。尼はやがて立ち停まって、狐のように左右を見まわしていたが、さながら吸い寄せられたように地蔵さまの前にふらふらと近寄った。と思うと、尼は両手を大きくひろげて冷たい石に抱きついた。そうして、何かひそひそとささやいているらしかった。

この奇怪な行動を二人は眼を放さずにうかがっていると、尼のからだは吸い着いたように離れなかった。それが五分もつづいた。十分もつづいた。二人はもう根負けがしたのと、藪蚊に襲われる苦しさとで、思わず身動きをすると、かれらを包んでいるすすきの葉がざわざわと鳴った。その物音に初めて気がついたらしく、尼は石をかかえた手を放して、急にこっちを見返った。どこかで狐の鳴く声が又きこえた。なんだか薄気味悪くもなって来たので、二人はやはり息を殺して忍んでいると、尼は何者かをあさるようにこちらへだんだんに歩み寄って来た。