Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
医師の家
僕は又、なんだか怖ろしいような、一種のいやな心持でお島さんに別れた。
医師の家
T君は語る。
「おばん。」
低い木戸をあけて、くつぬぎから声をかけた人があった。おばんというのはここらで「今晩は」という挨拶であることを私も知っていた。福島県のある古い町に住んでいる姉をたずねて、わたしは一昨日からそこに滞在していたが、別に見物するような所もない寂しい町で、町の入口に停車場をもちながらも近年だんだんに衰微の姿を見せているらしく、雪に閉じられた東北の暗い町は春が来てもやはり薄暗く沈んでいた。四月といっても朝夕はまだ肌寒いのに、けさは細かい雨が一日しとしとと降り暮らして、影のうすい電灯がぼんやりとともる頃になっても、檐の雨だれの音はまだ止まない。わたしは炉の前で姉夫婦と東京の話などをしていると、突然に外からおばんの声を聞いたのであった。
「おはいんなさい。」と、姉は返事をしながら入口の障子をあけると、卅二三の薄い口ひげを生やした男が洋傘をすぼめて立っていた。
「や、お客様ですか。」
「いいえ、構いません。東京の弟が参っているのですから。」と、姉は言った。
「倉部さん。