Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
京伏見廓細見
悲母悲妻
悲母悲妻
春もここ数日が名残りであろう。山科の里には、老鶯が啼きぬいていた。
――ええいっ、ええいっ。
――おうっ!
何処かで、烈しい気合の懸け声と、木剣の音が、そのあいだの静寂から洩れてくる。新しく庭樹を植え込んだり、沢山な石や燈籠に数寄を凝らしてある大石家の内からであった。
こんな贅沢な普請のうちには、どんな幸福な陽の下に生れた人間が、浮世の余生を楽しんで暮しているのか――と外を通るものは、必ずそこの門を振向いて見た。
前栽の牡丹畑には、見事な花の王が妍を競って咲いている――五月にちかい眩ゆい陽ざしは、書院のあたらしい吉野杉の天井へ、いっぱいな明るさを刎ね返していた。
『……お陸。……水、水をくれい』
内蔵助は、俯つ伏せになって、寝ていた。
今朝――駕籠で祇園の茶屋から帰って来ると、妻のお陸が着せかけた夜具も刎ね退け、羽織の襟を頭から被ったまま、高鼾になってしまったものである。
――ええいっ、おおうっ。
父の惰眠を醒ますように、裏の方では、長男の主税と次男の吉千代とが、剣道の稽古を励んでいるらしい。
宿酔の乾いた唇を舐めながら、内蔵助は起き上って、