Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
吉良ざむらい
吉良ざむらい
『ありがたい!』
右衛門七は、思わず塀の内の彼女へ向って心から叫んだ。
だが、割れた板図面へとびついて、それへ手をのばした咄嗟に、右衛門七が頭から被っていた蝙蝠羽織を、何者かが鷲づかみに掴んで、
『これっ!』
『あっ』
『何者だっ』
羽織をつかんでいる間に、板絵図の割れた一方を溝の中へ落してしまった。咎めた男は生憎と強力である。右衛門七が羽織を放さないので、その上から彼の首をつつみ、背後から鉄の箍かと思われるような両腕をまわして締めつけた。
『うっ……ううっ……』
十七歳の右衛門七は、体もまた蒲柳の質であった。男はそれに反して彼の倍もある恰幅で、年頃も三十前後かと見える。太やかな朱鞘を差し、角ばった顔に硬そうな髯がまばらに生えていて、
『うぬ、何処の素浪人か』
と、身を捻じて、業をかけながら罵るその声が、紛々と、酒くさいのであった。
吉良家の浪人であることは、右衛門七にもすぐ分った。――南無三と心のうちでさけびながら、必死に、敵の腕くびを掴まえて、肩越しに投げ捨てようとするらしいが、所詮、彼の技にかかるような脆い相手ではない。
『くそっ』
敵の腕は、彼の喉輪を抱き込んだ。