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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

うすく陰った空は午から少しずつ剥げて来て、駒形堂の屋根も明るくなった。そよりとも風のない日で、秋の暑さは大川の水にも残っているらしく、向う河岸から漕ぎもどして来る渡し船にも、白い扇や手拭が乗合のひたいにかざされて、女の児の絵日傘が紅い影を船端の波にゆらゆらと浮かべていた。

その一と群れがこっちの岸へ着いて、ぞろぞろ上がってゆくのを待ち兼ねたように、御符売りは入れ替って乗った。半七もつづいて飛び乗った。

「おうい。出るよう」

船頭は大きい声で呼ぶと、小児の手を曳いたおかみさんや、寺参りらしいお婆さんや、中元の砂糖袋をさげた小僧や、五、六人の男女がおくれ馳せにどやどやと駈け付けて来て、揺れる船縁からだんだんに乗り込んだ。やがて漕ぎ出したときに、御符売りは艫の方に乗り込んだ一人の男を急に見付け出したらしく、ほかの乗合をかきわけて彼の胸倉を引っ掴んだ。

「やい、この泥坊。よくもおれが大事の商売道具を盗みやがったな。これ、池鯉鮒さまの罰があたるぞ」

泥坊と人なかで罵られた男も、やはり四十前後の男で、紺地の野暮な単物を着ていた。彼はほかの乗合の手前、おとなしく黙っていられなかった。