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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

と、半七は首をひねった。「だが、世間には案外なことがあるからな。なかなか油断はできねえ。その旗本はなんという屋敷で、隠居の下屋敷はどこにあるんだ」

「屋敷は大久保式部という千石取りで、その隠居の下屋敷は雑司ヶ谷にあるそうです」

「じゃあ、なにしろその雑司ヶ谷というのへ行って見ようじゃあねえか。飛んでもねえものに突き当るかも知れねえ」

あくる朝、松吉の誘いに来るのを待って、半七は二人づれで神田を出た。きょうは三月なかばの花見日和といううららかな日で、ぶらぶら歩いている二人のひたいには薄い汗がにじんだ。雑司ヶ谷へゆき着いて、大久保式部の下屋敷をたずねると、さすがは千石取りの隠居所だけに屋敷はなかなか手広そうな構えで、前には小さい溝川が流れていた。

「まるで一軒家ですね」と、松吉は云った。

なるほど背中合わせに一軒の屋敷があるだけで、右も左も広い畑地であった。近所で訊くと、この下屋敷には六十ばかりの御隠居が住んでいて、ほかには用人と若党と中間、それから女中が二人ほど奉公しているとのことであった。半七は菜の花の黄いろい畑のあいだを縫って、屋敷の横手を一と通り見まわした。