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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

お前がふだんから気をまわしている相手というのはその女だ。ところで、そこにどういう因縁があったか知らねえが、千次郎とおみよは心中することになって、男はまず女を絞め殺した」

「まあ」と、お登久の顔は真っ蒼になった。「ほんとうに二人で死ぬ気だったんでしょうか」

「ほんとうも嘘もねえ。真剣に死ぬ気だったんだろう。だが、女の死ぬのを見ると、男は薄情なものさ。急に気が変って逃げ出して、それから何処かに隠れてしまったんだ。死んだ女は好い面の皮で、さぞ怨んでいるだろうよ」

「二人が心中だという確かな証拠があるんでしょうか」

「女の書置が見付かったから間違いもあるめえ」

云いかけてふと気がつくと、お登久の涼しい眼には涙がいっぱいに溜っていた。

「その女と心中までする位じゃあ、つまり私は欺されていたんですね」

「師匠にゃあ気の毒だが、煎じつめると、まあそんな理窟にもなるようだね」

「あたしはなぜこんなに馬鹿なんでしょうね」

もう堪まらなくなったらしい。お登久はじれるように身をふるわせて、襦袢の袖口を眼にあてた。裏口で犬が頻りに吠え付くのを、松吉は小声で追っているらしかったが、そんなことはお登久の耳にはちっともはいらないらしかった。