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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

「しッ」と、例の女が急に注意をあたえた。「池の方を見ておいでなさい。傍視をしてはなりませぬぞ」

何者かが何処かで自分を窺っているのだと気がついて、お蝶も急に身を固くした。主のひそんでいるという恐ろしい池を覗いたままで、彼女はしばらく突っ立っていると、やがてその警戒も解けたらしく、女たちはまた打ちくつろいでしずかにあるき出した。

もとの座敷へ戻ると、お蝶はまた一刻ばかりの休息をあたえられた。女たちは草双紙などを持って来て貸してくれた。午飯がすむと、一人の女が来て琴をひいた。六月はじめの暑い日に、決して縁側の障子をあけることは許されなかった。襖も無論に閉め切ってあった。お蝶は体の好い座敷牢のようなありさまで長い日を暮した。夕方になると、ゆうべの通りに湯殿へ案内されて、帰ってくると今夜は別の着物に着かえさせられた。あかりがつくと、机の前にまた坐らせられた。今夜は誰も忍んで来て窺っているらしい様子は見えなかったが、それでもお蝶はまだまだ油断ができなかった。

「今夜もまた何か来るかしら」

おびえた魂をかかえて、彼女は今夜も四ツ頃から蚊帳にはいると、その晩は宵から細かい雨がしとしとと降り出して池の蛙がしきりに鳴いていた。