Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
「おや、親分さん。どうも恐れ入りました」と、お亀は待ち兼ねたように半七を迎えた。「早速でございますが、娘がゆうべ戻ってまいりましてね」
ゆうべお亀が半七をたずねている留守に、お蝶はいつもの通りの乗物にのせられて、河岸の石置き場まで送りかえされていた。詳しいことは阿母さんに話してあるから、おまえも家へ一度帰ってよく相談をして来いと、お蝶はかの女から云い聞かされて来たのであった。
こういう場合に本人を素直に帰してよこすというのは、いかにも物の判った仕方で、先方に悪意のないことは能く判っていた。気疲れで奥の三畳にうとうと眠っているお蝶を呼び起させて、半七は彼女から更に詳しい話を聴きとったが、やはり確かな見当は付かなかった。お蝶の話によって考えると、その屋敷はどうも然るべき大名の下屋敷であるらしく思われたが、その場所も方角も知れないので、それがどこの屋敷だか見当が付かなかった。
「今に誰か来るかも知れないから、まあ、待っていて見ようよ」と、半七も腰をおちつけて、そこに居坐っていることにした。
この頃の日はよほど詰まって、ゆう六ツの鐘を聴かないうちに、狭い家の隅々はもう薄暗くなった。